パパの後悔

ショートストーリー パパの後悔

恰幅のいい男が、作業していた手を止めて、同僚に話しかけた。

「いやぁ、まいったね。
息子が欲しがってるっていうオモチャの名前を妻から聞いて、
早速、買にいったんだけど、どこ行っても売り切れでさ……
仕方ないから、オークションで探したら、どんでもない金額がついてるんだよ。
しかも、金額がどんどん上がっててさ。
なんでもっと早く買って準備しておかなかったんだろう?って大後悔だよ。 」

同僚は同情するように男を見る。

「あー、時間巻き戻んないかなぁ……」

遠い目をする男の手が止まっているのを気にしながら、
同僚も、自分のことを話す。

「え?お前んとこもまだ準備してなかったの?」

ため息をつく同僚。

「そうか……。どこも一緒だな。ハハハ」

準備が遅かったのが自分だけじゃないと知って、
男は少し機嫌が良くなったようだ。

「人間の子ども用のプレゼントなら、こんなにたくさんあるっていうのにな……」

“その日”に間に合わせなければいけないことを思い出した男は、
白いひげをつるんとなでると、赤いジャケットの袖をまくって、
また、大小さまざまなプレゼントの仕分け作業を再開した。

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