ライバル

出会ってから3ヶ月。

好きでたまらない私の彼は、左手にアンティークのオメガを着けている。

映画の時間を確認する時、
仕事の電話がかっかってきた時、
次の約束を決める時、

彼がオメガに向ける視線が、なぜか愛しげなものに感じられる。

恋する女は想像力が逞しいから、
何度もオメガに視線を向ける彼を見ているうちに、
彼の視線がオメガの文字盤を通り越して、
どこかもっと別のところに向けられているような気さえしてくる。

あのオメガには何か特別な思い出があるのかもしれない、と。

二人っきりで話しているのに、
左手のオメガの向こうにいる、他の“誰か”を妄想してしまう。

もしも、できることならば、オメガの中に入って行って、
その“誰か”に文句を言いたい。

「早くそこから出て行ってよ」って。

彼がこんなに魅力的なのは、
私の知らないたくさんの過去があるからだと、
頭では解っているけれど……。

ほら、またそんなふうにオメガを見るから

強い嫉妬を感じてしまう。

終電を気にする彼に、今日は帰らなくて良いのだと告げ、

オメガを見るのを止めた彼の熱い視線を独り占めしながら、

その左手をちらりと見やって、小さな声でつぶやいた。

「私の勝ちよ」

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コメント

  1. SECRET: 0
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    何か特別なモノにこだわり愛着を感じてぞっこんに惚れるんです。そのモノにその人の人生が潜んでいれば覗きたくなりますね。ライバルってタイトルステキです。

  2. SECRET: 0
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    >SHIMO-CHANさん
    男性ってそうなのですね。
    すごく好きになると、女性はそんんあモノにまで嫉妬しちゃうんですよね。^^;

  3. SECRET: 0
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    スマートで無駄のない素敵なストーリーですね。経験はないけど入り込んで共感してしまいました(まだ女が残っていたんかぁ・・・笑)
    ありがとうございました。

  4. SECRET: 0
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    >毎朝小説更新 主婦作家 紗都子さん
    ありがとうございます!
    紗都子さんにそんなふうに言ってたいだけるなんて光栄です。

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