恋人がサンタクロース

暖冬と言われて、秋が長かった街も、イルミネーションが灯り、
クリスマスソングが流れ始めると、一気に冬らしくなる。

今年も、また、この季節がやってきた。

人生最大の決断をしてから、もう10年が過ぎようとしているのに、
クリスマスキャロルを聞く度に鮮明に思い出す、あの、決断までの数分間。

何年も待ってくれた彼は、最後の最後で、決断を急かした。

もし、あの時、彼の手をとっていたら、私は今、どんな暮らしをしているだろう?

真夜中に目が覚めて、偶然姿を見てしまってから、
毎年会うのを楽しみにしていて、7回目の逢瀬でプロポーズを受けた。

年に一度しか会えない遠距離恋愛でも、2人の仲は会う度に縮まって、
返事を欲しいと言いながら、彼は3年待ってくれた。

でもあの日、とうとう決断を迫った彼の手を、掴むことはできなかった。

それは、私が19歳のクリスマスイブのこと。

翌年から、彼はもう会いに来てはくれなくなった。

誰にも信じてはもらえないと思うけれど……
〝サンタクロース”は本当にいることを、私は知っている。

 

 

このショートストーリーは、ウオッチコレメールマガジン「ブリリアントタイム」に掲載されています。

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