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16.はじめての美術館

よく晴れた土曜日の午後、娘は少しおめかしをして、
色鉛筆を入れたキティーちゃんのバックを手に持ち、鏡の前でポーズを作っています。

今日は主人が出勤なので、娘と二人で、電車で、街までお出かけします。
行き先は美術館。
そこでは、今、ルノワールの絵画展が開かれています。

絵の好きな娘を、前々から本物に触れさせてやりたいと思っていましたが、
あの、静寂な場所で、娘が奇声を発して走り回るんじゃないかという心配から
なかなか実行することができませんでした。

見る人を幸福な気分にするというルノワールの絵、
美しい印象派の絵は私も大好きですし、
幼い子供にはじめて見せる本物としては、ぴったりです。
意を決してチャレンジすることにしました。

娘は、割引券についていた<ルグラン嬢>の絵を何度も眺めていたので、
地下鉄や路上で、同じ絵のポスターを見かけると、
得意げに、「ママ、るのわーるだね~」と指さします。
これならば、美術館についても大丈夫そうな気がします。

地下鉄を降りてから美術館までの道のりは、
路上の噴水に目を奪われたり、フェンス前のブロックの上を歩いてみたくなったり、
自販機の前で止まったっきり動かなくなって、ジュースを飲んだり…
大人一人ならば、そんなに遠くもない場所のに、ずいぶん時間がかかります。(笑)

ようやく美術館に着くと、入場券を買うための長蛇の列。
(^.^; う…
入った頃には眠くなってしまうのではないかと心配になってきます。
日差しが強くなかったのが幸いで、以外にもおとなしく並んでいてくれました。

やっと入場して、本物と感激の対面!と思いましたが…
ここもまた、黒山の人だかり、
列にならんで、遅々と進みながら鑑賞するか、人垣の隙間から覗きこむしかありません。

さんざん待たされた娘がこれ以上おとなしく並ぶはずもなく、
当然後者を選んだのですが、そこは、さすが5歳児、
興味のある絵の前にくると、ササッと前の方に入り込み、
見たいだけじーっと見ると、またササッ行ってしまいす。^-^; アハハ…

おかげで、駆け足の鑑賞でしたが、
ルノワールが描き出す生き生きとした人物や美しい風景は、
確かに見る人を幸せにするような気がしました。
見ているうちに絵が描きたくてたまらなくなった娘は、
休憩所で持ってきた色鉛筆を取り出して、早速不思議な絵を描き始めました。

興味の無い絵は無視して、見たい絵だけを堂々と鑑賞し、
休憩所の感想ノートに自分の名前入りの絵を描きつけて、
巨匠をつかまえて、「上手だった」とコメントする娘は、案外大物かもしれない、と、
また、親ばか心が頭を持ち上げている私です。

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