注目の記事 PICK UP!

Brilliant Time

Brilliant Time

「ねえ、聞いた?」

「え?何を?」

「今日は部長のおごりで飲み会ですって!昨日競馬で大穴当てたらしい
わよ」

「まあ、気前がいい部長らしいわね」

「有志は全員連れて行ってしゃぶしゃぶですって。思いっきり食べましょ
うね」

社員食堂で部長からの伝言を触れ回る同僚に、私も参加の意思を伝えた。

けれど、終業間際に入ったクレーム電話の応対で定時に切り上げそびれた私は、
仲間たちを見送って、後から追いかけることを約束した。

仕事を終えてコートを羽織り、鞄に手をかけた時、営業部の高橋くんが駆け込んできた。

困った表情の彼に事情を尋ねると、我侭な客に、明日朝一で商品リストの見積もりを持ってきて欲しいと言われ、
データ入力を手伝ってくれる人を探しに来たという。

私は、今羽織ったばかりのコートを脱いだ。

チャンス!

実は、入社依頼ずっと高橋くんのことが好きだったのだ。

部長のおごりで食べるしゃぶしゃぶはもちろん魅力的だけれど、
ずっと好きだった高橋君と二人っきりでする残業には敵わない。

たとえ、それがパソコンに向かってデータ入力するだけの時間であったとしても、だ。

好きな人と一緒に過ごせる時間は、私にとって、とても輝かしい時間だから。


このショートストーリーは、大阪の時計店【ウオッチコレ】メールマガジン『ブリリアントタイム』に掲載されています。

関連記事

  1. ショートストーリー『蝶々』

    蝶々

  2. あわてんぼう

    あわてんぼう

  3. 優しい嘘

    優しい嘘

  4. ショートストーリー セプテンバー

    SEPTEMBER

  5. ショートストーリー 2680日後

    2680日後

  6. 新しいスタート

  7. ショートストーリー『春近し』

    春近し

  8. ショートストーリー「さよならの向こう側」

    さよならの向こう側

  9. ショートストーリー「死んでる場合じゃない」

    死んでる場合じゃない

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PAGE TOP