娘はこれまでに、2度の入院を経験しています。
一度目は、先天性内斜視の手術で、わずか10ヶ月の時、
2度目は熱せい痙攣で1歳になる、ほんの少し前。
私は、そのことを、とても特別なことに感じていました。
幼い子どもにとって、入院や手術をするなんて、あってはいけないことで、
そんな経験をするのはごくわずかな子どもだけで、
娘はとても大変な思いをしたのだと思っていたのです。

ところが、少し考え方がかわるようなお話を聞きました。
最近知り合って、仲良くなった友人の家に遊びに行ったときのことです。
彼女のお子さんも娘と同じ年の女の子でした。
とても明るく活発な子で、話を聞くまでは、そのお嬢さんに病気があるなんて、
気が付きさえしませんでした。
お嬢さんの病名は、股関節脱臼、
普通に歩けないかもしれないと聞かされた友人は、
私が娘の内斜視を知ったときと同じように、
何件もの医者を回り、いくつかの治療法を試したそうです。
そして、その中でもっとも信頼できた病院に入院させていたときのこと、
私もそうだったように、彼女も、ずいぶん悩んで、暗くなっていたのだそう。

ところが、彼女のお嬢さんがいた病棟には、たくさんの重い病気の子ども達がいたのです。
何日かたつうちに、入院している子どもの母親たちとも仲良くなりました。
そして、こんな会話がありました。
「お宅は何パーセントくらいなの?」
友人は、完治する可能性のことだと思い、
「そうねえ、、」と先生との会話を思い出していました。
「うちはね、80パーセントくらいなの」
驚くことに、そのお母さんが口にした確立というのは、
生存率の話だったのです。
そこには、ガンや、心臓病の子ども達もたくさんいて、
生存率の話が、こんなふうになにげなくされていたのです。

友人はハッとして、これまで落ち込んでいた自分を、恥ずかしく思ったそうです。
自分の娘は、たとえ、歩けなくなったとしても、生存率は100%なのだと。
そして、それからは必要以上に暗くなったり、落ち込んだりすることも無くなったのだそうです。

この話を聞いて、私は少し涙ぐんでしまいました。
世の中には、いろんな子ども達がいるのですね、
病気が日常になり、生存率が普通の話題になるような世界もあるのだと知りました。
驚くと同時に、自分の娘の生存率が100%であることを、
神様に感謝せずにはいられませんでした。

友人のお嬢さんは、今のところ、そのときの治療が成功していて、普通に成長しています。
それでも、いつ、また入院しなければいけなくなるか、わからないのだそう。
私の娘も、普通に視力を伸ばすために、今後、数度の手術が必要になるかもしれません。
それでも、生存率は100%なのです。
これからもいろいろなことがあるのでしょうけれど、こんな感謝の気持ちを忘れずに、
いつまでも、娘のことを見守っていってやりたいと思います