「Googleアース」、その、地球規模の地図画像検索システムが
始めて発表されたとき、ネットユーザーは皆かなり驚いた。

だって、そうだろう?

小さなパソコンが一台あれば、世界中のどんな場所の画像も、
モニター上で瞬時に閲覧することができるだけでなく、
その画質は、地上を走っている車のナンバープレートまで
読み取れるほど上質だというのだから。

しかも、利用料はタダ。

多くのパソコンユーザーは、グーグルアースを絶賛した。

あれから17年。

まさか、こんなプログラムが開発されてしまうなんて……。

「Googleタイム」
クリックひとつで、利用した人間が時間軸を自在に移動できてしまうシステムだ。

「時間」について、あらゆる角度から研究を続けた人間は、
かつては後戻りすることも飛び越えることも不可能だと思われていた「時間」が、
実はあることを行うだけで、自由自在に操れることを知った。

そして、とうとう、クリックひとつで、時間軸を自在に移動できてしまうという
この「Googleタイム」が登場したのだ。

ところが、この「Googleタイム」には、大きな問題点があった。

それは、Googleタイムを利用中にパソコンを終了してしまうと、
Googleタイムで時間を移動していた人間は、元に戻ることができなくなるのだ。

この問題点の犠牲者となる人間は後を絶たなかった。

それでも「Googleタイム」は、そんな重大な問題点も気にならないほど楽しめるプログラムだったため、
利用者は増える一方だった。

もはや、誰もが、「人間はついに時間を操れるようになった」と感じていた。

しかし、実は、人間はやはり、歴史という大きな「時間」に操られていることに気付いている人もいた。

それは、「Googleタイム」で過去に時間移動したまま
未来に戻れなくなってしまった人たちだ。

彼らは、かつて自分がいた時代に戻ろうと、それぞれの時代で努力を続け、
それぞれの時代においては「画期的」と言われる何かを発明した。

例えば、「Googleアース」とか……。