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  1. ショートストーリー

彼は深いため息をついた。

この私に楯突く輩がこれほどまでに増えていたとは……

カーテンの端に指をひっかけ少しだけ外を覗くと、プラカードを持ったいまい ましい行列はさらに人数を増していた。

受話器を取り上げ電話をつなぐ。

向こう側から聞こえる恐縮しきった声は、さ らに彼のイライラを募らせる。

……ったく、こんなことになるまで放って置いたのはいったい誰なんだ!

持って行き場のないいらだちを押さえきれず、怒りに燃えた目で呟いた。

「俺はやるといったらやるんだ。」

カチッ。

その時、小さな音が聞こえた気がした。

彼は反射的に時計を見たが、なんら変わったところはない。

あいつらだって、ついこの間までは俺にもみ手をしながら、
「私たちも賛成ですよ」
なんて言っていたじゃないか。

それなのに、いざとなると、あんなことを言い出しやがって……

でも、待てよ。

これは俺にとってもいい時間稼ぎになるかもしれない。

こうやって揉めている間に十分な準備をして事に臨めば、より良い結果にな るに違いない。

私の計画が遂行されれば、我が国の経済は潤い、

私はさらに力を強めることに なるだろう。

「ふふふふふ。はははははは。」

 カチッ。

その時、またはっきりとした音が響いたが、独り高笑いする彼にはもう聞こえていなかった。

その音が、地球滅亡までの時間を計る時計の針が進む音だと、彼が気付く日は 来るのだろうか……。


このショートストーリーは、大阪の時計店【ウオッチコレ】メールマガジン『ブリリアントタイム』に掲載されています。

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