幼稚園児というのは、大人が考えているよりもずっと、
ちゃんと、周りの大人のことを観察しているようです。
しかも、なるほど、と納得させられるような評価を下していたりします。
観察のポイントというのが、またシビアで、
大人ならばはっきりとは言いにくいことや、照れくさくって言えないことも、
きっぱりと言ってのけるところがあります。
それは、園の行事でママたちが集った後のことでした。
私も以前から憧れているエレガンスさん(「ごきげんよう」と挨拶するエレガントなママ)のひとりである
えりちゃんのママを見て、あやのがこんなことをいいました。
「えりちゃんってすごく可愛いんだよ、えりちゃんのママも可愛いからかな?」
確かにえりちゃんは可愛く、えりちゃんのママもとても素敵な女性です。
「えりちゃんのママってしっとりとした美人だね」
なるほど、彼女は、透き通るような白い肌で目が大きく、指先も、靴も、手入れが行き届いていて、
同性でも思わず見入ってしまうような女性です。おまけに、その物腰はやわらかで、
娘の言う、「しっとりとした美人」というのはまさにぴったりな表現です。
自分の娘が誉める非の打ち所のない女性に、軽い嫉妬を感じながら、
無謀にも、「じゃあ、ママは?」と自分の評価を聞いてみました。
「ん~とね、あわてんぼうの忘れんぼう!……じゃなくて、忘れんぼうのおこりんぼう…… のちょっと美人」
(^.^; う……。
聞いた私が馬鹿でした。
この大きな修飾語の違いはいったいなんでしょう?
しかも、ちょっと美人、の部分は取ってつけたように無理やりで、
私に気を遣って言っているとしか思えません。(笑)
確かに私は慌てんぼうだし、忘れっぽいし、ちょっぴり声を荒げて娘を叱ることもあります。
でも、ねぇ……。
私も娘に、「しっとりとした」という修飾語をつけてもらえるようなママになりたいと思いながら、
同時に、「しっとり」とは程遠い日々の行動が、走馬灯のように脳裏をかけめぐるのでした。