アンティークジュエリーには、前の持ち主の思いが宿っている……と言ったら信じますか?
「“アンティーク”なんて言えばお洒落に聞こえるけど、つまり、昔の使いふるし、ってことでしょう?」
何でもストレートに言う律子が、ミもフタもない言い方をする。
「そんな言い方しなくても……」
孝子が慌てて場を繕う。
「でも、これ、とっても素敵だわ!」
マイペースな優佳が目を輝かせて私を見やった。
「高かった?」と尋ねた優佳への返事を、全員が待っている。
私は、ゆっくり、歌うように、
「高かったわ。すごく」
と答えた。
そう、このアンティークのブローチは、信じられないほど高かった。
ブローチの値段を告げると、古めかしいブローチに、
想像を超える値段を支払った私に、皆とても驚いた。
けれど、このブローチを買ったことで、その後私の身に起きた“出来事”を話したら、
皆、10倍の金額を出してでも、このブローチを買いたいと思うに違いない。
大切に使われたジュエリーには、持ち主の思いが宿ると聞いたことがあるけれど、
このブローチには、持ち主の……
「何ひとりでニヤついてるのよ?」
あの日からの夢のような出来事を思い出してつい思い出し笑いがこぼれた私を、律子が現実に引き戻した。
「ごめん、ごめん。実はね……」
皆が心から驚く顔を想像しながら、私はあの日のことを話しはじめた。
もし、あなたがどこかで、高価なアンティークブローチを見つけたら、
躊躇わないで、すぐに買ってしまうことをお勧めします。
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