やっぱり…
娘のその姿を見たとき、的中してしまった予感に、私はやっぱり笑ってしまいました。

6月最後の土曜日に、同窓会がありました。

娘は園に入ると一目散に、こうきくんを見つけて走りより、
抱きつこうとしていました。

やれやれ…

例によって、追いかけっこがはじまります。
久しぶりの先生方や、ママ友達との挨拶もそこそこに、
娘を捕まえてさとします。
「男の子は追うと逃げるのよ、あんまり追い掛け回しちゃだめ」と。

それでも、娘はおかまいなしに、講堂に呼び集められるまで、
こうきくんを追いかけていました。

そんな娘をずっと見ていてくれた、年長組の担任だった先生が、
この日舞台に上がって献灯献花をする二人に、
娘とこうきくんを選んでくれました。

舞台に上がった娘は、前を歩くこうきくんを、
ものすごく幸せそうな顔で見詰めながら、神妙に献花します。

幼稚園に通った3年間を、やさしく見守って下さっていた先生と仏様が、
娘にくださった最後の素敵なプレゼントは、
こうきくんと二人で仏様に捧げた花と灯りの思い出でした。

娘はその夜と、その後も何度か、ベッドで献花のことを、嬉しそうに思い出します。
「こうきと一緒にしたね」と。

娘の恋心は今も、真夏の太陽のように燃えているようです。

小さな恋のメロディは、これからも、いろいろな旋律を奏でていくことでしょう。