パパの憂鬱

いつものように娘とお風呂から出てきたパパが、今日はいつも違った様子。

いつもなら私にまかせっきりの娘の着替えを手伝って、髪まで乾かしてやっています。

パジャマを着た娘と一緒に、リビングに入ってきたババが言いました。

「今日はとてもショックなことがあった」

落胆したパパとは裏腹に、楽し気な娘に聞いてみると、ショックの理由がわかりました。

パパはお風呂で、よく娘にこんなことを聞きます。

「パパとママとどっちが好き?」

いつものように、「ママ」と言われただけならば良かったのですが、今日はおまけがありました。

「あやちゃんパパよりこうきくんのが好き!こうきくんと結婚するの」

パパはその言葉のカウンターパンチでノックダウンされてしまい、立ち上がるのもやっとだったよう。

こうきくんと遊んで楽しかった話をする娘を抱きしめて膝に乗せると、目をのぞき込んで訊きます。

「パパはお土産を買ってきてあげるけど、こうきくんは買ってきてくれる?」

それから娘の好きな飲み物を見せて、「これあげたらパパの方が好き?」

ねぇ、パパ……

無理矢理「パパのが好き」って言わせてどうするの?(笑)

たかだか4歳の娘が、思いつきで言った言葉に翻弄されているパパの姿は、可笑しいやら微笑ましいやら。

いつか成長した娘が、本当に結婚したい男性を連れてきたときは、いったいどうするのでしょう?

そのときのパパの計り知れないショックを、ほんの少しだけ垣間見たような気がしました。

裏目

いつも元気いっぱいの娘が、今日はなぜだかブルー。

なんとか娘を喜ばせようと、パパが色々な面白い話をし始めました。

娘にようやく笑顔が戻ってきた頃、調子に乗ったパパがこんなことを言っちゃいました。

「実はパパ、宇宙人なんだ!ピポパポピー~」

一瞬娘の表情が凍りついたと思ったら……

うえ~~~ん!

パパの演技が上手すぎて、ものすごく恐かったよう。

あれ以来、我が家で「宇宙人」という言葉は禁句です。

パパ、せっかく頑張ってくれたのにごめんね。

ライバル

楽しい夕食のひととき。

いつもより早く帰ってきた主人も一緒に食卓を囲んで、娘が幼稚園での出来事を話しだしました。

「あのね、こうきくんって、ときどきシャツが出ててだらしないの。
でもね、自転車にも乗れて、鉄棒だってすごくカッコよくできて、あやちゃん、こうきくんのことが好……」

娘が言い終わるか終らないかのうちに、パパが大きな声を出しました。

「だらしない男はイカン!パパだって自転車にカッコよく乗れるし、鉄棒だってできるぞ!」

……!?

パパ、5歳の子ども相手にそんなに熱くならないでちょうだい。(笑)