「あんっ……んっ……んん…… 」

「もっと?」

「ん。んんん……」

「それじゃあよくわかんないよ、ちゃんと教えて」

「だって……あんまり……きもちよくって……」

「良かった。嬉しいよ」

「……はあ。あなたって、すごいわ」

「君に誉められるなんて、光栄だな」

「だって、こんなのってはじめて……」

「商品化したら、真っ先に君にプレゼントするよ」

僕が今開発しているのは、画期的なマッサージャー。

特殊センサーが内臓された小さな指輪が、体中にある“ツボ”を的確に探知してとらえ、高周波で“コリ”を揉みほぐす。

企業戦士として働く女性が増えた現代にぴったりの癒し系ジュエリーだ。

指輪をつけた手を肩や首にそっと当てるだけで、僕の彼女のような声が……。

あなたもひとつ、恋人にプレゼントしてはいかがだろう?


このショートストーリーは、大阪の時計店【ウオッチコレ】メールマガジン『ブリリアントタイム』に掲載されています。