里奈子は身体を右側に向けて隆をじっと見詰めながら、
その美しい白い手を、テーブルに置いた隆の右手にそっと重ねた。
ねっとりとしたジャズのメロディが、
今夜二人が過ごすかもしれない濃密な時間を想像させる。
けれど……
ミニスカートから伸びた里奈子の細い足は、
暗い店のテーブルの下で左側にいる敬一の足に絡められていた。
里奈子は、スリルが好きだったのだ。
敬一は少しだけ体を右側に向けて、
テーブルの下にあるの左手で、里奈子の脚をなぞっている。
正確な時計の針のように、上へ上へと少しずつ進んで、
今や、膝から腿へと差しかかろうとしていた。
里奈子は、隆から目を逸らさない。
隆の瞳も、里奈子だけをじっと見詰めていいる。
ただ……
隆のしなやかな左手は、里奈子の背中の後で、
敬一のたくましい右腕をまさぐっていた。
隆は、里奈子も、スリルも、そして、“男”も好きだったのだ。
コメント
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途中、、、うっ、、これは、女が怖い系なのかな?
と思いきや、オチ、、、爆笑でした(笑
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初コメです。
楽しく読ませていただきました。
一話完結ができるのはすごいと思います。
尊敬に値します。
私は余計な事を書いてしまい、続く・続く
ばかりです…。
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ペタありがとうございましたm(__)m
ブログ拝見させていただきました。
素敵な作品が多く、引き込まれてしまいました。なんだか山本文緒さんと似ている印象を受けます。
またお邪魔させていただきたいと思います。
駄文失礼いたしました。
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どんな展開になるかと思いきや、オチ良かったです。
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>Bilwanさん
でしょ。^^
可愛いバレンタインケーキ、ありがとうございます!
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>縁ジェルさん
ありがとうございます!
緑ジェルさんの終わりの時を終わらない優しさで綴られているエッセイも素敵だと思います。
一昨年義父がなくなって、とても素晴らし葬儀をしていただいたので、ホールの方には感謝しています。
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>えいむさん
ありがとうございます!
山本文緒さんを感じていただけたなんて、
とっても光栄です^^
また、ぜひ、遊びにいらしてくださいね!
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>はみ出し銀行マンさん
イマドキ、でしょ。(笑)
お褒めいただけてうれしいです!